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『不屈の棋士』 大川慎太郎

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読書期間 10月19日~10月22日
大川慎太郎 『不屈の棋士』
最近、AIの台頭により話題によく上がるのが「シンギュラリティ」(技術的特異点)である。
「2045年問題」とも言われる。

Technological Singularity
人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事。
人類が人工知能と融合し、生物学的な思考速度の限界を超越することで、現在の人類からして人類の進化速度が無限大に到達したように見える瞬間に到達することを言う。

「技術的特異点」はヴァーナー・ヴィンジとレイ・カーツワイルにより提唱され、特にカーツワイルはこの世界では「予言者」とさえ言われている。
最近、「予言者」は不老不死を目指しているらしいが、果たして…・w

彼が提唱している「収穫加速の法則」は話が長くなるのですっ飛ばすが(「ムーアの法則」とかこれまためんどくさいし、ワシにはワケわからんw)、
「進化の6のエポック」の中に一部「収穫加速の法則」を含む。
その中で5番目のエポックは「技術的特異点」と同意である。
エポック5は「テクノロジーと人間の知能の融合」である。
生命のあり方(人間の知能も含む)が、人間が作り上げたテクノロジーの基盤に統合される時代である。

AIが人間の能力を凌駕した時に、人間が失う職業は●●である

と、AIが人間の能力に迫りつつあった時、そして、ある分野で凌駕したとされる時に挙がった話題である。
遅くとも2060年までにはほとんどの仕事がAIに取って代わられるかもしれないそうだ。
(余談だが、ワシの仕事は絶対にAIに取って代わられることがない職種と思っているので、対岸の火事状態w
来いっ、AIとすら思っているw)

プロ棋士はどうなのか?
果たしてAIに取って代わられる職業となってしまうのか。

コンピュータVSプロ棋士の対局は1996年に始まった。
1996年飯田弘之五段が6枚落ちで三局対戦し、1勝2敗という成績からスタートした。
それからは大駒落としのハンデ戦などを行い、なんとか棋士がプロとしての面目を保つことが出来ていたが、
2013年の電王戦で初めて平手でコンピュータが勝利する。
それ以来、コンピュータの反則負けや判定負け以外はプロ棋士はソフトに負け続けている。

個人的にはその昔、「ディープブルー」のカスパロフとの対局(NHKのドキュメンタリーだったかな?)を見た時は( ゚д゚)ポカーンだった。
あれはスゴイとマジで思った。

本書では渡辺竜王、羽生棋聖などのトッププロを始めとして、何人もの棋士にインタビューを行い、ソフトとプロ棋士との関係に迫ろうとする。
渡辺・羽生両氏は研究にソフトを使用している。
終盤の詰むや詰まざるやの局面において使用するとのこと。
ソフトとの対局に関しては否定的ではない、ソフトに負けても驚かないというスタンスである。
一方で、千田翔太六段は研究は人間と対局せずに棋力を上げるためだけにソフトとだけ対局するそうだ。
ソフトが発達している以上、人間との対局に意味を見いだせないようである。
また、佐藤康光九段や行方尚史八段は「それほど将棋は簡単ではない」とソフトに背を向ける。

それぞれのスタンスのプロ棋士達。

藤井四段ブームに乗っかってにわかに、ン十年ぶりに将棋を指し始めたのは以前書いたと思う。
相方は興味がないから相手になってくれないので、対局はもっぱらソフトやらインターネッツである。
平手でやる時もあれば、大駒落としてのハンデはもちろんである。
自分で棋譜並べもやるし、詰将棋も1日に何題かは解く。
定跡を覚えたりすることはめんどくさいとは思うのだけれど、脳トレ感覚でいるのでさほど苦には思わないが、
だからといって棋力がむちゃくちゃ向上しているかといえば甚だ疑問で、単なる「下手の横好き」を越えないと思う。
今年は棋戦をよく見ている。
インターネッツ放送が普及してくれて感謝感激雨あられだ。
そう、棋戦を見ていて、あるいは棋譜並べをしていても「ソフト指し」まではわからない。
単純に好手が出ると、すげぇなと感心するのみである。
でも、なんとなく「気持ち悪さ」というか違和感は感じる。
人が考え抜いて作り上げた最善の定跡から逸脱しているというか…
音楽ならば「楽譜」。
将棋は「棋譜」なのだ。
そこに美しさを見出す。
「楽譜」は調和があって初めてひとつの曲として成立する。
バッハのクラヴィーア、平均律が少しでもおかしければ成り立たない。
バッハ調の曲は作れてもバッハではない。
将棋も同じことなのだろう。
芸術的な美しさを目指す棋譜に対してソフトの指す一手は単に勝つための一手。
それゆえに違和感を感じるのかもしれない。

昭和の人間過ぎるので、いや、認知行動という点からかもしれないが、コンピュータなどの利便性は大いに認めるものの、
あるラインに来ると拒絶反応が強くなる。
その一例が、自動車の「ブレーキアシストシステム」だったりする。
いやいや、自分でブレーキ踏むうZE的なw
クルーズコントロールでさえも使ったことはない。
それがAIだかなんだか知らんがやってくれるという。
怖いがなw
あくまでも「補助的」な位置づけであるならばまだしも…将来的には…それも遠くない将来だ…
クルマが勝手に運転してくれるって、もうどうよ?であるw
非常に楽かもしれない、でも、自分で運転して目的地に到着する楽しさや喜びはどうなんだろう?
もちろん、ドライブに集中する時間をおしゃべりだとか、景色を眺めたりする楽しみもあるだろうが…
それよりも「怖い」が先に立つヘタレな昭和人w

羽生はかつて「勝ち負けにはもちろんこだわるんですが、大切なのは過程です。結果だけなら、じゃんけんでいい」と言った。
そうなのだ、プロ棋士よりもソフトが強いのは周知の事実なのだ。
勝敗だけならソフトなのだ。
でも、「人」が指すから面白いのだ。
神ならぬ人ゆえに「人」が考えに考え抜いて放たれる一手に魅了される。

10月28日・29日に竜王戦の第二局が行われて、羽生棋聖が2勝目を上げたのだが、その2日間はいろいろやりながら対局を見たり、ネット上での反応をチェックしていた。
竜王戦は2日制で、1日目の18時に封ずる。
2日目の対局は封じ手開封から始まるのだが、封じ手前までの将棋ファンの反応はさまざまだった。
人間の見た目で「羽生劣勢」という人も多く、ソフトで検討すると「互角」と見る人も多かった。
渡辺竜王の「封じ手」を予想し、そこからの局面を読んでみたりとさまざまな反応が飛び交いつつ1日目の対局は終わった。
2日目対局再開。
羽生の66手目の7七桂も妙手だったが、80手目で羽生棋聖が放った4九龍が問題になった。
4九龍はソフトに少し読ませると「先手有利」になり、後手の羽生にとっては悪手のようであるが、25億、あるいは40億ノード読み込ませれば「最善手」になった。
25億だの40億だの読み込ませないと出てこない「一手」は、ソフトでも神でもない「人」である羽生が放った一手なのだ。
ソフトは確かに強い、強すぎるだろう。
でも、ソフトも読んでいないこうしたスゴイ手を放つのが「人」であり、たった81マスの盤面を挟んで自分が持つ知力を振り絞って戦うからこそ魅了されるのだと思う。

AIが発達することでかつてと違い「人」がイレギュラーな存在になろうとしている。
でも、「イレギュラー」だからこそ素晴らしい。
「イレギュラー」、いろんな意味で取れると思う。
その例では「個性」と言い換えても意味は取れはしないか。
「没個性」と言われる昨今だが、人類を全体的に眺めれば、イレギュラーであることは「個性」として際立つかもしれない。
だから全知全能の「神」は近寄りがたく、イレギュラーな「人」は愛すべき存在なのだろう。
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ごぶさたしております

ちゃろさま、本当にごぶさたしております。
手抜き大好き、ダラダラ奥様です。
旅行記もさることながら、読書記録もおもしろくて全然将棋に興味なかったのに羽生大先生の本、買ってしまいました。

実は私はピアノ奥なので、バッハとか先日のアマデウスのくだりとかたまらないです。
もう20番きくと、サリエリの苦悩しかうかばないくらいです(余談ですがアルゲリッチとコンセルトヘボウの20番が一番好きです)

これからも楽しみにしていますね。

ダラ奥サマ( ・∀・)ノィョ-ゥ

ダラ奥さま、こんばんは。
おひさしぶりでございます。

> 手抜き大好き、ダラダラ奥様です。

こちらも手抜き大好きでございます…相変わらず。
手抜きは正義ですよ。

> 旅行記もさることながら、読書記録もおもしろくて全然将棋に興味なかったのに羽生大先生の本、買ってしまいました。

あははw
手抜き記録なんですけども。
鬼畜本買われましたかw
また感想をお聞かせくださいね。

> 実は私はピアノ奥なので、バッハとか先日のアマデウスのくだりとかたまらないです。

( ゚Д゚)ウヒョー
すげいですねダラ奥さま。
ハイソなセレブでアッパーなカホリがしますよ。
あっしゃ、なんせいっちょ噛み野郎なんでモーツァルトなんざ、映画「アマデウス」ですし、バッハっても教会法とかそのアタリでしか知らないんですよ。
お恥ずかしい限り。
でも、モーツァルトは大好きですよ。

「うんこ」を連呼し書く手紙…嗚呼、ウットリ。
天才とはかくなるものなのかとやはりサリエリではありませんが、
モーツァルトが天真爛漫に「うんこ!うんこ!うんこ!」と連呼するさまに、どす黒く嫉妬せずにはいられませんでした。
何百年経てもホンモノの天才は色あせないw

> もう20番きくと、サリエリの苦悩しかうかばないくらいです(余談ですがアルゲリッチとコンセルトヘボウの20番が一番好きです)
>

モーツァルトとくればやはりK231、K233のタイトルでしょうかw
ってどんだけうんこ好きなんだよw
プロフィール

ちゃろちゃんねる

Author:ちゃろちゃんねる
アタマがアレなので難しいことはとにかくニガテ。
ユルくダラダラと生きるのが好き。

ま、いつも通りにテキトーに。

「レポ」とか何さま気取り?みたいなw
そんなカッケーもんじゃない。
「レポ」なんつって書いてたらちゃんちゃらおかしいわw
確かに全世界に垂れ流してはいるが、極めて内向きのオ●ニーブログですw
でも、全部自腹だよーんw
なので、書いてること、感想はあくまでもアテクシどもの個人的な感想、ゆえにまったく参考にならんと思うので、各自自己責任で、なw
ヲイラは責任取れません。
予定では0:00の更新だよ。

「全記事一覧」から記事を見ようとすると、めんどくさいと思うので検索してみてくださいお('A`)
…てか、検索してまでも見ないわなw

<掲載予定>
・京都旅

写真はポチっとしてみておくんなまし。
今更ですが…記事・写真、コメント・TBの無断転載・転用はお断りいたします。

ちょっと試験的にテンプレを変えます。
なんかいいテンプレないかねぇ('A`)

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