『皇后考』 原武史

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読書期間 5月22日~5月27日
原武史 『皇后考』

皇后と言われるとすぐに思い浮かべるのは、神功皇后と光明皇后だろう。

かつて古代日本には「神功皇后」という神懸った人物がいた…とされる。
「神功皇后」といえば、応神天皇をお腹に宿したまま、急逝した夫である仲哀天皇の意思を引き継ぎ、
筑紫から朝鮮半島へ渡り、三韓を下した「三韓征伐」をなした女傑として知られている。
だが、明治以前にはこの神功皇后を臨朝とみなし、第15代の天皇に加えた史書が多数あったが、
1926年(大正15年)10月の詔書により、歴代天皇から外された。

そして、光明皇后は藤原不比等の娘で、皇族以外から初めて立后し聖武天皇と皇后となり、夫とともに仏教に深く帰依し、
悲田院や施薬院を設け、社会事業に取り組み、さらに多くの寺院を建立・整備したことでも知られる。

ひとりは、男以上に武威を発揮し、異国の地を平定するほどの女傑、そしてもうひとりは篤い信心から精力的に社会事業に取り組んだ慈悲深い女人である。

本書ではこの神功皇后に傾倒した大正天皇皇后である節子に重きを置く。
それはなぜか。
血統によって、その地位に登る「天皇」と違い、「皇后」は「皇后になることが求められた」。
それ以前の明治期以前とは違い、大正期は近代の夫婦関係の規範である「一夫一婦制」のモデルになることが、大正帝とその皇后節子には求められた。
のちの昭和天皇をはじめとする4人の皇子にも恵まれ、表向きには円満に見えた夫婦関係ではあったが、成婚当初から二人の関係は必ずしも順調ではなかった。
その後、大正天皇が発病し、宮中祭祀など天皇の務めが果たせなくなる。
こうした状況下で節子は神に救いを求める。
筧克彦の説く『神(かん)ながらの道』に傾倒し、自身を神功皇后と一体化させることで、心の危機を乗り越えようとする。
こうした節子の振る舞いにより、皇后・節子は摂政となった息子と、そして、皇太后になってのちは天皇となった息子と対立と軋轢を繰り返すこととなる。

明治以降「万世一系の天皇」が統治する国として近代日本は歩み始めた。
皇后という存在は近代以前と違う意味を持つようになったわけである。
「一夫一婦制」を規範とした大正期に入って、その存在は一層大きな意味を持つようになった。
新しい時代に「皇后になること」を求められた節子には「モデル」として存在した皇后は神功皇后と光明皇后だけだった。
節子には、新しい時代を生きる皇后として、あるいは皇太后としての「モデル」になることが求められた。
ゆえに、息子と軋轢を生み出そうが、節子が求める「新しい皇后像」を創り出す必要があったのだ。
そして求めた先に存在したものは、神功皇后であり、より彼女を一層神格化させる必要があったのだ。

ここまでが本書に関してだが、平成という御代になり、「皇室」自体が「新しい皇室」を模索している。
以前「この記事」に書いたことと重なることになるが、果たして、何を目指しているのか。
はたまた次代はどう考えているのか。
畏れ多くもやんごとない、九重の雲の上のことを推測するだけではあるが、一体どうなるのか、と。
なぜかって?
「天皇制」、それは日本人のDNAに刷り込まれた「アイデンティティ」だと思うからですよ。
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ま、いつも通りにテキトーに。

「レポ」とか何さま気取り?みたいなw
そんなカッケーもんじゃない。
「レポ」なんつって書いてたらちゃんちゃらおかしいわw
確かに全世界に垂れ流してはいるが、極めて内向きのオ●ニーブログですw
なので、書いてることは感想はあくまでもアテクシどもの個人的な感想、ゆえにまったく参考にならんと思うので、各自自己責任で、なw
ヲイラは責任取れません。
予定では0:00の更新だよ。

「全記事一覧」から記事を見ようとすると、めんどくさいと思うので検索してみてくださいお('A`)
…てか、検索してまでも見ないわなw

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