『我が闘争』 上 アドルフ・ヒトラー

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読書期間 3月29日~4月1日
アドルフ・ヒトラー 『我が闘争』 上

井上成美(いのうえしげよし)という、帝国海軍最後の海軍大将をご存知でしょうか?
たまたま井上成美の事績を調べていて、「あ、そうだ、『我が闘争』の完訳読んでないし、読もうかな」と思い買った次第。


井上成美、簡単に言ってしまうと帝国軍人の最後の良心かつ語学の大天才である。
語学は英語・独逸語・フラ語・伊語すべて操ったという。

その井上は『我が闘争』を原書で読んで不快感を示した。

それは…
ドイツのヒトラーは、『Mein Kampf』で日本人をはじめとする有色人種を蔑視して、ゲルマン民族による世界制覇を目指している。
(当時、国内で読まれていた『我が闘争』は日本人蔑視の部分は翻訳されず)
日本はヒトラーやドイツにとっての捨て駒にしか過ぎない。
そして、その思考はいずれ破綻するのは目に見えている。
また、経済的観点から、三国同盟は論外。
日本経済は、そのほとんどを米英圏に依存している。
特に海軍にとって最重要の石油と屑鉄は米国から購入している。
三国同盟を結べば、英国、さらに米国を敵に回し、日本は石油と屑鉄の供給を絶たれる。
軍事的観点においても三国同盟は無意味。
地理的に遠く離れた日本と独・伊は相互援助が不可能である。
イタリア駐在武官時代の経験から、イタリアは、外見は立派でも頼むに足りないのである。

以上の点から井上は米内光政、山本五十六とともに「海軍左派三羽烏」と呼ばれ、日独伊三国軍事同盟の締結には断固反対していた。
冷静に判断していた人々は、皮肉なことにこの時代は「左派」と呼ばれた。
井上は三羽烏の中でもことに強硬派であり、三国軍事同盟締結に対し最後まで抵抗し、その後の対米開戦に進む動きを阻止しようとする。
また、開戦後は早期終結のために尽力した。

今となっては歴史をなぞるだけだが、確かにこの当時のドイツの動きというのは、非常に不可解ではあるが、単純明快である。
そのトリッキーな、「ゲルマン民族による世界統一」のための戦略が遺憾なく発揮された時代である。
ゆえに中国、そして日本をゲルマン民族の世界統一のために手駒にすることは当たり前の戦略であった。

1910年頃から40年代までドイツは中国と独中合作を行い、1935年1月、軍事顧問として派遣されていたファルケンハウゼンは、中国国防基本方針と題する対日戦略案を蒋介石に提出する。
日本が攻撃してきたとしても、日本はソ連対策をとらざるをえず、また中国に利害をもつ英米とも対立すること、
そして日本はそのような全面的な国際戦争には耐えられない。
従って、中国は長期戦に持ち込み、可能な限り多くの外国を介入させることをファルケンハウゼンは提案した。
また同年10月1日には、漢口と上海にある租界地の日本軍を奇襲し、主導権を握ることを進言。
ファルケンハウゼンは中国にとっての第一の敵を日本、第二を共産党と捉えていたのだ。
またドイツの軍事援助は、対日戦略的提案だけではなく人材育成と組織整備、軍需物資提供に及んでいた。
そのため、ドイツによる中国の武器近代化は直後の日中戦争で効果を発揮し、殊にドイツの支援で上海一帯に構築された陣地の攻略などで日本軍は予想以上の犠牲を払うこととなった。
国民政府は多くの主要都市の占領を許したものの、国民革命軍自体の士気の維持を保つことには成功した。
一方で、日本軍は国民政府が遷都した重慶を無差別爆撃はしたものの、地上部隊による攻撃は終戦に至るまで出来なかった。

こうした状況下、1936年11月に日独防共協定が結ばれることになる。
日独防共協定が結ばれたことにより、ドイツと中国の関係は冷却していくことになる。
それまでには完全に中国を向いていたヒトラーの目が日本に向けられたことは確かなのだが、1941年までドイツは中国との関係改善を模索していた。
片手では日本と手を握り、もう片手でまた中国との手を握ろうとしたドイツ。
中国だけではなく、ドイツはソ連と手を握った。
手は2本しかないのだから、片手は振り払われても仕方ない。

「欧州情勢、複雑怪奇なリ」

奇しくも平沼騏一郎は独ソ不可侵条約の締結を見てそう言って政権を投げ出したが、このひと言に集約されている。

考えることを止めた日本人。
情報戦で大いに遅れを取り、なおかつ、冷静な状況判断能力すら失い、思考停止に陥ってしまった。
神懸って行くことで自ら泥沼に嵌ってしまった日本。

日本にとって全方位と戦ったこの戦争。
負けるべくして負けた戦争だったとしか言いようがない。
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ま、いつも通りにテキトーに。

「レポ」とか何さま気取り?みたいなw
そんなカッケーもんじゃない。
「レポ」なんつって書いてたらちゃんちゃらおかしいわw
確かに全世界に垂れ流してはいるが、極めて内向きのオ●ニーブログですw
なので、書いてることは感想はあくまでもアテクシどもの個人的な感想、ゆえにまったく参考にならんと思うので、各自自己責任で、なw
ヲイラは責任取れません。
予定では0:00の更新だよ。

「全記事一覧」から記事を見ようとすると、めんどくさいと思うので検索してみてくださいお('A`)
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